住居(住まい)に関する少額訴訟について
快適な暮らしはみんなの願いですが、住まいとその周辺は人と人の様々な利害が入り交じる場でもあり、トラブルが発生することも多い場面です。
例えば、土地・建物の賃貸借に関するトラブル、住宅の設備の欠陥、近隣問題などなど。問題解決には正しい 法の知識が必要で、「少額訴訟」を利用して問題の解決を図る場合でも司法書士との相談が欠かせません。
※以下の事例は少額訴訟を利用することができるものを想定したもので、実際の事例や判例ではありません。
少額訴訟想定事例
ケース1:敷金が返還されない!
事例
2年間住んでいた1DKのアパートを引っ越した。大家さんに敷金14万円(家賃2ヵ月分)の返還を求めたが、大家さんからは、畳の表替えやクロスの張替えなど原状回復する費用が必要なので敷金では不足し、敷金を差し引いたほかに更に20万円請求するという返事。だが、部屋を特に汚したり、破損した覚えはないのでこれは納得できない。
解決のアドバイス
賃借人には、建物(部屋)を原状に回復して返還する義務がありますが、この「原状回復」については、賃借した当初と全く同一の状態にまでする必要はなく、通常の使用に伴って生じた損耗・汚損の補修費用については賃借人が負担する義務はないとする判例も多く出されています。
これは、賃貸借契約に「貸室明渡し後の室内建具、襖、壁紙等の破損、汚れは一切賃借人の負担において原状に回復する」というような特約(「原状回復特約」)があっても変わりません。
大家さんと再度交渉して、それでも敷金が返還されないなら、少額訴訟によって解決することも可能です。
ケース2:損害を弁償して!
事例
アパートの上の階の住人の全自動洗濯機のホースが外れて水漏れし、階下の私の部屋が雨漏り状態になり、衣類やパソコンが水を被った。
衣類のクリーニング代やパソコンの修理代として合計10万円を支払ったので、その弁償を求めたところ、上の住人は謝るばかりで弁償する気は全くない。何とか弁償してもらう方法はないだろうか。
解決のアドバイス
相手は、洗濯機のホースが外れてあなたの部屋が水浸しになり損害を被ったことと自分の非を認めていますから、弁償することについて、相手に誠意が見られなければ、少額訴訟を選択してみるのも一つの方法です。
ケース3:家賃滞納5ヶ月分
事例
アパートを経営していますが、賃借人の一人が月5万円の家賃を5ヶ月も滞納しています。催促しても「もう少し待ってくれ。」というばかりです。今の時期、新たな賃借人を探すとなると結構大変なので、明渡しまでは考えていません。滞納家賃だけ支払ってもらうことはできますか。
解決のアドバイス
実際には、多くの簡易裁判所に滞納家賃だけの支払いを求める訴えが起こされていますが、相手に家賃を支払う意思がないことが明らかな場合は、滞納家賃だけの請求ではなく、建物(部屋)の明渡し(立退き)を求める方がよいと思われます。
少額訴訟は30万円以下の金銭支払請求に限られますので、明渡し(と同時に滞納家賃の支払い)を求める場合は、少額訴訟でなく通常訴訟手続で訴えを起こすことになります。
